とろサーモンは歴代最高チャンピオン
ずっと準決勝止まりだった彼らがラストイヤーで巻き返した。
この優勝に異議を唱えるものも少なくない。
「ラストイヤーだから審査員が甘かった」
「松本は和牛に入れてた」
「何年も同じネタをしてた」
私はそんなものだからどうしたと思う。
審査員が甘かったのではない。これまでの芸歴15年の中で彼らに魅了されたものが多かったということだけだ。
どうしても優勝させてあげたい。この気持ちを生ませた時点でとろサーモンの勝ちなのだ。
何年も同じネタをしていたからなんだ。ネタはその時のお客さん、会場、はたまた演者側の手直しや意識によってガラリと変わるものだ。久保田が絶好調だったのが大きいだろう。
さらに彼らは今までとは違い、2017年では演者自身が明るく、楽しそうな漫才へと変化していた。久保田の見た目も打ち消す良い見せ方だった。
そんな全ての要素が味方してもたらした優勝だった。
先日、M-1グランプリを軸にとろサーモンをフューチャーしたドキュメンタリー、
泥に咲く花が放送していた。
彼らは早めに名を売ったいわゆるエリートコンビである。
スカし漫才という新しいスタイルの発明もあったが、うまくいかずそこからのくすぶりが長かった。
何か変えようと東京に進出したが、それがさらなる地獄への入り口だった。
その彼らの生活がドキュメンタリーで語られていたがこれがまた辛い。
どんどんと重ねられていく芸歴とどんどんと底あげてくる後輩。
精神的にやられていたという村田さんの話は涙なしでは聞けない。
日本人にはその人の背後にあるストーリーに心を打たれる事が多いらしい。
今年の甲子園準優勝の金足農業に全国民が心打たれたのも頷ける。
だからなんだ、それこそ日本人じゃ。
良いストリーに心を打たれる。それでいいのだ。